スリングベルト ラウンドスリングに使うコーナーパット、当て物

軽くて柔軟性があり、使用の場面が広がっているスリングベルトおよびラウンドスリングですが、重量物を吊るため正しく使用しないとベルト切断による重大な事故に繋がる恐れがあります。その中でも荷の横滑りによるベルト切断事故が特に増えています。今回はコーナーパットを使用したベルト切断事故防止についてご紹介致します。
(このページで紹介するコーナーパッドは国内製造メーカー丸善織物のJIS規格スリングベルトおよびラウンドスリング専用の物になりますのでご注意ください。)
切断事故を招くシャープエッジ(鋭い角)
ベルトスリングはワイヤースリングやチェーンスリングと比べて材質強度が劣るため、シャープエッジ(鋭い角)のある荷物負荷に弱い構造となっています。シャープエッジに横滑り(吊った状態で荷物が横方向に滑り落ちる現象)が加わると、摩擦熱が発生するため頑丈に作られているスリングベルトも切れてしまいます。このような事故を防ぐためにもコーナーパッドの使用をお奨めしております。
コーナーパットの使用
吊荷の角、特に鋭い荷の角によるベルトスリングの損傷に対し、最も確実で有効な予防策はコーナーパット等の当て物を使用することです。特に鋭い角をもつ荷を吊り上げる場合には、当て物の厚さはより厚いほどその効果は向上する傾向があります。下記の表は厚さ3mmの当て物を使用し、鋭い角の影響と当て物の効果を示した試験結果です。角の先端R=0mmで当て物なしの状態では、ベルトスリングの強度は約3分の1にまで低下してしまいます。
しかしコーナーパットを使用することでベルトの耐久性を2倍の2/3まで引き上げることができるのです。 また、ベルトスリングの瞬間的な事故を防ぐとともに、経年劣化防止効果も見込めます。
角の先端R強度保持率
当て物なし当て物有り
0mm34%77%
5mm62%88%
ベルトスリングはその使い易さから広く普及している商品ですが、日本クレーン協会も発表している通りベルト切断による事故も非常に多くなっています。作業の安全性を確保するという意味で、是非いま一度コーナーパットの使用をご検討されてはいかがでしょうか。