ベルトスリングによる玉掛け作業、事故防止のための注意点

近年、玉掛け作業にはワイヤーロープだけでなくベルトスリングの使用も増えてきました。 このページではベルトスリングを用いた玉掛け作業の事故防止方法についてご説明致します。
玉掛け作業前に
玉掛け作業を行うには資格・教育が必要となります。技能講習と特別教育の二種類がありますが、これは吊荷の重さにより決定するわけではなく、クレーンの性能により決まりますのでご注意ください。例えば500kgの荷物でも、1トン以上吊り上げ可能なクレーンを使用する場合は玉掛け技能講習が必要となります。
クレーン性能必要資格・教育
1トン以上吊り上げ可能玉掛け技能講習
1トン未満吊り上げ可能特別教育
玉掛け作業の事故原因
クレーンによる吊り上げ作業中の事故原因の半数は吊荷、もしくは玉掛け用具に起因しています。玉掛け作業が元となった事故として次のようなものが挙げられます。
玉掛け方法が不適切だった
  • ・ベルトスリング一本吊りにより、荷が回転して作業者に激突。
  • ・吊り上げの際に重ねた荷物が崩れて落下。
玉掛け用具が不適切だった
事故防止のための作業上の注意
  • ・吊荷が通る経路、高さに障害物はないかどうか。
  • ・搬送経路に死角はないかどうか。
  • ・適切な玉掛け方法によりベルトスリングが掛けられているかどうか。
    (1本吊りは吊荷が安定しないため、原則として禁止されています)
  • ・必要な箇所に当て物がされているかどうか。→ベルトスリングと当て物について
  • ・微動巻き上げによりロープの張りを確認しているかどうか。
  • ・10cm程吊り上げて一旦停止、荷の安定・重心の確認。
  • ・吊り上げ移動中は、荷の下に入らないことを徹底。
  • ・吊荷に付き添って移動する場合は2m以上距離を開けること。
  • ・巻下げ時にはあらかじめ、まくら・歯止め用具を設置すること。
  • ・巻下げ作業時には作業者は安全な位置に退避すること。
  • ・着地後一旦停止し、ベルトスリングが緩んだ状態で荷物の安定を確認。
  • ・荷物固定後、クレーンによるスリングの引き抜きを行わない。
  • ・使用後ベルトスリングは点検し、決められた場所に保管。(日の当たらない風通しの良い場所が望ましい)
事故防止のためのスリング点検
  • ・繰返しの使用により劣化したベルトスリングは適切なタイミングで交換しましょう。→ベルトスリングの廃棄基準について
  • ・角のある荷物を吊る場合はカバーや当て物を使用すること。→ベルトスリングと当て物について
  • ・ベルトスリングは日光により著しく劣化するため、作業時間外は日の当たらない風通しの良い場所に保管。
  • ・ベルトスリング劣化の原因となるため、床や地面に引きずらないこと。
  • ・ベルトスリング劣化の原因となるため、高所より落下させての受け渡しは行わないこと。
  • ・酸やアルカリに触れると劣化の原因となるため、専用のベルトスリングを使用しましょう。→化学薬品用スリングベルト
危険を伴う作業だからこそ国産JIS規格品をオススメします。
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