肥料と微量要素

野菜の肥料について
肥料取締法第2条第1項
日本の法律で定められているところの「肥料」とは、植物の栄養に供すること又は植物の栽培に資するため土壌に化学的変化をもたらすことを目的として土地にほどこされる物及び植物の栄養に供することを目的として植物にほどこされる物をいう。
※土壌に施すものや葉に直接散布するものも植物の栄養に供することを目的としている場合は肥料となります。
肥料の成分
肥料の成分としては窒素(N)・リン酸(P)・カリ(K)を配合したものが多くあります。これらは肥料の三要素と呼ばれ植物の生長に必須になる成分です。この他にもカルシウム(Ca)・マグネシウム(Mg)などの要素も肥料として施されます。
肥料の三要素について
窒素(N)
主に植物を大きく生長させる効果があります。葉や茎を大きくし葉の色を濃くするため葉肥(はごえ)といわれます。植物のタンパク質や葉緑素などを作るために必要となります。過剰に与えると植物体が徒長し、軟弱になるため病虫害に侵されやすくなります。逆に、軟らかい植物体を作りたいときは窒素を多用するとよい。
リン酸(P)
主に作物の開花結実に効果があります。花肥(はなごえ)または実肥(みごえ)といわれています。
カリ(K)
主に根の発育と細胞内の浸透圧調整に効果があります。根肥(ねごえ)といわれています。水溶性のため流亡しやすいので、追肥で小出しに与えるのがよい。
肥料の五要素について
肥料の三要素にカルシウム(石灰)とマグネシウムを加えて肥料の五要素といいます。
カルシウム(Ca)
主に細胞壁を強くし、作物体の耐病性を強化する働きがあります。農業・園芸分野では石灰(せっかい)ともいいます。土壌のph調整などに用いられる。
マグネシウム(Mg)
葉緑素形成に不可欠な物質です。農業・園芸分野では苦土(くど)ともいう。
多量要素と微量要素について
肥料成分には、植物が必要とするものに多量要素と微量要素とがある。
多量要素
字の通りに植物の生育に多量に必要となる成分です。上記した窒素・リン酸・カリの3要素に加えて、石灰・苦土・硫黄がこれに当てはまります。
微量要素
植物の生育に欠かせないものではありますが多量要素に比べて必要量が少ないのでこのように区分けされています。鉄・マンガン・ホウ素・モリブデン・亜鉛・銅・塩素があります。
微量要素とは
微量要素は作物の生育には欠かせない成分です。多量要素(窒素・リン酸・カリなど)に比べて必要量が少ないのが特徴です。微量要素の種類は鉄・マンガン・ホウ素・モリブデン・亜鉛・銅・塩素があります。
微量要素の欠乏症状について
作物の微量要素が足らなくなると起きる症状です。症状としては作物の生育不良や変色、枯れてしまうなどです。この症状になってしまうとせっかく育てた作物がダメになってしまいます。なので、液肥や活力剤などで微量要素をしっかりと補給することが大切です。
微量要素とは
鉄(Fe)
鉄は光合成に必要な葉緑素を作るのに必要な微粒要素です。主に葉緑素を作る働きがあります。鉄の欠乏症状になると葉が黄色や白くなります。
マンガン(Mn)
マンガンは呼吸酵素やタンパク質を作る酵素の構成要素です。葉緑素やビタミンの合成にかかわる効果がある微量要素です。マンガンの欠乏症状になると葉に黄色や茶色の斑点ができてしまいます。
ホウ素(B)
ホウ素は新芽や根の生育を促進する微量要素です。ホウ素の欠乏症状になると新芽や根の生育が悪くなります。
モリブデン(Mo)
窒素固定菌が活動するための触媒として必要な微量要素です。主にビタミンの合成にかかわっています。モリブレンの欠乏症状になると葉に黄色の斑点がでて変形してしまいます。
亜鉛(Zn)
主にオーキシン(成長ホルモン)に関係している微量要素です。亜鉛は新しい葉を作るのにかかわっている微量要素です。亜鉛の欠乏症状になると葉が小さくなり変形しています。
銅(Cu)
主に酸化酵素の働きに関係しています。作物の葉緑素を作るのに必要な微量要素です。銅の欠乏症状になると葉が黄色や白くなり変形してしまいます。
塩素(Cl)
光合成に必要な微量要素です。塩素の欠乏症状になると葉の先端から枯れてしまいます。
硫黄(S)
アミノ酸の合成に必要な微量要素です。窒素供給により硫黄の消費量が増えるので窒素とのバランスが重要です。
ホウ素(B)
カリウムやカルシウムの代謝に関与します。酸性・砂質土壌では流出し、石灰施用で不溶化して欠乏します。過剰害もあるため施用が難しい要素です。