雑草対策 熱湯・重曹・塩 やってみた

雑草対策として有名な「熱湯」「重曹」「塩」をそれぞれ試してみました。

熱湯は雑草対策に有効?
除草剤のような化学成分がなく、環境にも優しいということで熱湯で雑草対策をされる方が増えていますが、実際のところどれ程の効果があるのでしょうか?今回は熱湯による雑草対策をプロの目線で解説致します。

なぜ熱湯で雑草が枯れるのか?
まずはもっとも基本的な熱湯により雑草が枯れる理由です。身もふたも無い言い方ですが、これは熱により枯死しているためです。バーナー等で焼いているのと同じ原理になるため、より効率よく熱を伝えることが重要となります。
熱湯で雑草対策は有効?
熱湯は間違いなく効果がありますが、雑草を枯死させるためには散布方法にも気を付けなければなりません。地面から露出している地上部は比較的簡単に枯れるのですが、根の部分まで枯死させるのは難しいのです。地中まで熱が伝わるよう、十分な量の熱湯を撒かなければなりませんし、根が横に広がり群生するタイプの雑草には広い面積に撒く必要があります。つまり、熱湯は根まで枯らさなければならない雑草とは相性が悪いといえます。
熱湯による雑草対策が有効な場面
インターロッキングやコンクリートの隙間から生えてくる雑草には比較的有効と思われます。手では抜きづらく、根まで処理するのは中々難しいのですが、熱湯をたっぷりかければ根まで取り除けるでしょう。また、こういった場所の雑草は草丈が大きくならないのもポイントです。

熱湯による雑草対策が不向きな場面
庭や空き地など、広い面積の雑草防除には向いていません。こういった場所の雑草を熱湯で処理しようと思ったら、ドラム缶数個分の熱湯を用意しなければなりません。費用の面から見ても除草剤の方が安上がりだと言えます。
熱湯を使う際の注意
何といっても注意しなければいけないのが持ち運びです。ご家庭でお湯を沸かすとなれば、鍋やヤカン、ポットなどですがこれらをキッチンからお庭へ運び、雑草にかけるというのは予想以上に危険なもの。前述した通り、熱湯が大量に必要になるため何度も往復しなければなりませんがこの間にこぼして火傷をしてしまうリスクもあります。考え方によっては除草剤の方が遥かに安全だと言えます。 また、熱湯は雑草のみならず土壌中の細菌にも影響を与えるため、雑草処理後に 植物の栽培を考えている場合は不向きと言えます。
熱湯による雑草対策 まとめ
熱湯による雑草対策は何と言っても火傷のリスクの高さにあります。また、湯を沸かす費用と雑草防除効果は全く吊り合いません。熱湯は環境に優しく、手軽にできる方法と考えがちですが、手間やリスク・費用対効果を考えると必ずしも最適とは言えません。
重曹は雑草対策に有効?
料理や掃除に昔から使われている重曹、近年では美容や脱臭剤など幅広く使われています。そんな万能アイテムの重曹ですが厄介な雑草の対策、除草効果はあるのでしょうか?今回は実際に撒いて、その効果を検証します。
農業の場でも使われている重曹
重曹は「炭酸水素ナトリウム」とも言われ、優れた殺菌効果を持っています。農業の場でも、うどんこ病などの殺菌剤として使用されており、「ハーモメイト水和剤」などの重曹をベースとした農薬も作られています。
重曹が雑草に効くメカニズム
結論的に言うと重曹は雑草に対して効果があります。重曹が植物内部に吸収されると、細胞壊死の進行、また気孔からの水分蒸発を促進させ雑草を枯死させます。しかしご家庭での雑草対策には向かない欠点があります。
重曹はご家庭向きではない?
一番問題になるのが雑草に対する重曹の浸透力です。市販されている除草剤などとは違い、重曹は浸透力が著しく劣るため、ただ散布しただけではほとんど吸収されません。吸収されなければ効果は発揮できません。
ではどうすれば良いのかというと物理的に表面を傷つけ、そこから流し込むのが最も有効な手段とされています。つまり雑草を傷つけた上で重曹水を散布するのです。重曹での除草を行っているプロの業者は、高圧洗浄機のような水を勢いよく吹出す機械を用いて雑草をなぎ倒しながら散布をします。このことから特殊な機材を用意しなければならない重曹水散布はご家庭向きではないと言えるでしょう。
実際に重曹を散布してみました
重曹で雑草が枯れるメカニズムを説明した所で、実際に散布した様子をご紹介致します。
重曹散布前の様子。今回はしつこい雑草で有名なスギナへ散布し、その効果を検証します。根が残っていると再生するタイプの強害雑草なので、これを枯らすことができれば除草効果は本物と言えるでしょう。四角く区切ってある左側が重曹水散布区、右側が雑草を傷つけた上での重曹水散布区となります。

雑草が傷ついていると、重曹がより早く吸収されるため、鎌ですくように傷を付けます。このまま雑草を刈った方が早い気がしますが、今回はあくまで効果比較となります。

重曹を水に溶かし、ジョウロで両区画に散布を行いました。

重曹水散布から三日目。早くもスギナの葉先が萎びてきました。根元の方はまだまだ緑色の部分があり、元気があるように見えます。

重曹水散布から五日目。三日目とそれほど違いが見られません。

重曹水散布から十日目。五日目より若干萎びたような気がしますが、まだまだ緑色の部分が残っています。傷つけ有りの部分と無しの部分ではほとんど効果の違いが見られませんでした。

スギナの先端は枯れていますが、根元はまばらに緑色の部分が残っており、完全に枯れたとは言えない状態でした。

重曹による雑草対策
重曹にはある程度の除草効果が見られましたが、枯死させるほどではありませんでした。鎌による傷つけの有無の違いはほとんど見られませんでした。雑草の種類により浸透しやすい物としづらい物があるのではないかと考えられます。
塩は雑草対策に有効?
潮風の吹く地域では昔から樹木がダメになったり弱ったりすることが知られています。「もしかして雑草対策に使える?」と考えてしまうのも不思議ではありません。人間が体内に摂取するものだし、除草剤よりも安心安全、雑草に効くなら使ってみたい!という声も多く効きます。では実際のところ塩に除草効果はあるのでしょうか?実際に散布して検証してみました。
塩を散布する前に
実際に塩を散布する前に一つ注意なのですが、ご家庭では絶対に真似をしないでください。塩を撒くというのは想像以上に危険な行為です。
土壌で分解されないため植物が生えない
一見良いことのように見えますが全然そんなことはありません。塩は土壌では分解されないため、残留し後から植物が生えて来ません。花や植木、作物などももちろん育ちません。
周辺への流出の恐れ
塩は分解はされませんが、雨水などにより周囲へ流出することがあります。周辺の畑、水田、河川、地下水などに深刻な影響を及ぼす恐れがあります。
住宅基礎、配管への影響
塩は鉄筋コンクリートへダメージを与え、酸化によるコンクリート剥離などを引き起こす恐れがあります。塩害対策をしていない住居だと住宅基礎がボロボロになってしまう可能性も…。また上下水道などの配管、電話線にも被害が生じる恐れがあります。
実際に塩を散布してみました
塩の恐ろしさをお伝えした所で、実際に散布して効果を検証していきます。今回は私有地の小さく区切った試験区に少量の塩を撒く程度に抑えましたが、皆様のご自宅のお庭では絶対に真似しないでください。
塩散布前の様子。今回はしつこい雑草で有名なスギナに撒いていこうと思います。根が残っていると再生するタイプの強害雑草なので、これを枯らすことができれば除草効果は本物と言えるでしょう。四角く区切ってある右側が塩水散布区、左側が比較用の未処理区となります。

試験区に塩水を散布します。(画像は水に溶かす前です。)

塩水散布から三日目。スギナの葉先が萎びてきました。しかし根元の方はまだまだ緑色の部分があり、元気があるように見えます。

塩水散布から五日目。三日目とそれほど違いが見られません。

塩水散布から十日目。スギナが綺麗に枯れています。塩の力にただただ驚くばかりです。

ご覧の通り、内側までしっかり枯れているのがわかります。

塩による雑草対策
実際に撒いてみて塩の除草効果が確認できましたが、塩分は分解しないため長期に渡り大量に散布すれば周辺住宅、河川、農地への深刻な影響があるほか、住宅基礎や地中の配管にダメージを与える恐れがあります。
おすすめの雑草対策
環境に悪いイメージのある除草剤ですが、毎年使われることを想定された設計ですので塩よりも環境負荷は低いものです。また環境に負荷をかけず、お子様やペットにも安心な庭作りをしたい方には防草シートがオススメです。